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言うほど支配者感は無かった『鮫の惑星』のレビュー的なもの

「なんてことだ・・・これはサメ映画だった。俺はクソ映画を見ていたんだ!やってしまったのか愚か者たちめ!アサイラムなど地獄に落ちろ!」

 

久々にサメ映画見たら感想書きたくなったんで久々の投稿です。
今回見たのはこちら

 

『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』

 

あらすじは適当にググってね

 

『想像の斜め上を行くイデア『想像の遥か斜め下を行くクオリティ』で観客の度肝を抜くことに定評のあるサメ映画。

 本作は生態系の頂点に立ったサメと(シャチは?)人類との壮絶な死闘を描くという『想像の斜め上を行くイデアでは満点だが、クオリティの点ではどうでしょうか?
 
 結論から言えば“クオリティはそこまで低くないけど、笑えるシーンは僅かしかない”という、ネタにするのに一番辛いタイプ映画でした。

 

シナリオは決して悪いものではなく、登場人物達は終始事態の収束の為に行動していて、足を引っ張る無能キャラや無駄な言い争いといった尺稼ぎがない為、鑑賞時のストレスは少なかったです。


 しかし、本作はブッ飛んだ設定の割に終始シリアスなムードで話が進んでいくため、どうにも“地味”な雰囲気が漂っています。

  特に登場人物の個性や描写は圧倒的に不足していて、

 

  • 『唐突に結ばれる科学者カップル』
  • 『サメに故郷を滅ぼされたというバックボーンが全く活かされない生き残りの少女』
  • 『ジョークを飛ばすが盛り上がらないムードメーカー』

 

 等々、無意味に等しく面白さに貢献できていない点が目立ちます。

 また、全体的に山場や盛り上がりに欠けていて、登場人物の切り替えが早く、仲間や恋人が死んでもすぐ先に進んでしまうことから全体的に淡泊な印象も受けます。

 例えば、終盤で主人公(多分そう)の恋人(これも多分そう)がサメとの激闘の末に命を落としてしまうんですが、そこで一瞬主人公が悲痛な表情をするだけで、特に悲壮感を出すような演出も無くすぐにサメと対峙しちゃうんで、ドラマが全く生まれないんですよね。

ずっと一緒にいた仲間が亡くなった喪失感とか、そいつの仇を取ってやったぞ!っていうカタルシス的なものもないです。
そもそもこいつらが恋人なのかも、登場時のやりとりで察しただけなので本当にそうなのか分かりません。

とにかく人間関係の描写が希薄すぎるのがこの作品。


 特に『唐突に結ばれる科学者カップル』というのも、今まで仕事仲間的な会話しかしていなかった男女の科学者が終盤になってキスし始めるため、「そういう…関係だったのか…」とあまりに突然の展開に困惑してしまいました。
 ちなみにこの男科学者、微妙な長さの剣で次々と宙を舞うサメを始末する“作中最強候補”だったりします。
 
 シナリオの指摘について、「そんなのサメ映画じゃよくあることだろ」と思われるかもしれませんが、少なくとも“見れる”シナリオの為(よくできている訳ではない)、登場人物の個性の薄さや淡泊な展開は非常にもったいないと感じてしまいました。

ディープブルーで言うところの黒人コックがいればかなり盛り上がるんですけどね。


 さて、本作のサメについてですが、『特殊な電磁波で鮫を統率し集団で人々を襲う』という特性を持っています。

しかし他のサメ映画の


・『竜巻に乗って人を襲う』
・『水のあるところならどこからでも現れる』
・『家にいる』

 
 こういうバトル漫画の能力者みたいなスキルに比べるとインパクトに欠けているので、作品全般に漂う地味さに拍車をかける要因になっちゃってます。
 
 そもそもサメ映画では“当たり前のように徒党を組んで人間を襲っている”ので「それがどうした?」と言わざるを得ないですし、本作のサメの能力はさながら“インフレに置いて行かれたバトル漫画の脇役”のような微妙さが漂っている感じです。

 鮫を統率する能力で獰猛さや凶悪性を表すシーンがあればサメが地球の支配者であることを強調できたと思うので、そこは非常に惜しいと言えます。

 また、設定上仕方ないんですが、水着の一般人(通称:餌枠)を襲うシーンが無かったのも物足りなかったです。

ただ女科学者のおっぱいは物凄いボリュームなので、目の保養には困らないです。

 

 捕食シーンについて、散々能力は地味と言ったんですが出番もそれなりで出来が悪いというわけではなく、

 

  • 「冒頭の小さな村を襲撃するシーン」
  • 「中盤の飛び掛かってくるサメを華麗なジャンプで避ける女科学者」
  • 「ロケットの射出の為にサメのボスが放つ電流を利用するシーン」

 

この辺りは見ごたえがあります。地味って言ったのに電流はおかしくね?というツッコミは厳禁

 その一方で「どう考えても自分から海へと飛び込んでいくようにしか見えない犠牲者役の人達」や「サメを映さず、画面端を突っついて串刺しにしているように見せかけるシーン」といった、“悪い意味”でのサメ映画あるあるも見られるんですが、それは本作の海のように広い心で受け入れましょう。

 

総評として、キャッチ―なタイトルに惹かれて鑑賞すると裏切られる作品だと思います。

 シリアスを通り越して淡泊で地味な作風は、猿の惑星を彷彿とさせるインパクトある設定とタイトルとはミスマッチだったんじゃないかと思います。

ただ見所がない訳ではないんで一旦ハードルを海に沈めて見てみてれば、「まあ、悪くなかったよね」くらいの感想には落ち着くんじゃないかな。

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